算数障害(ディスカルキュリア)とは?特徴や支援方法について解説!

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10年間、小中学校の教員として1,000人以上の子どもたちの指導をしてきた歌原です。
今回は「算数障害の子どもへの支援はどうすればいいの?」についてお話しします。

この記事を読んでいるということは、
「子どもが算数が苦手」
「九九を覚えるのが苦手」
などと悩まれているのかもしれませんね。

今回は、算数障害のお子さんに向けた支援方法について詳しく解説します。

学習障害とは

算数障害は、学習障害の一種ですが、そもそも学習障害とはなんでしょう?
学習障害(LD:Learning Disorder)は、全般的な知的発達に遅れがないものの、聞く・話す・読む・書く・計算する・推論することがむずかしい状態のことです。
知的発達の遅れがないことがポイントですね。

具体的なタイプは、算数障害(ディスカルキュリア)の他にも

  • 読字障害(ディスレクシア)
  • 書字障害(ディスグラフィア)

などがあります。

ざっくり話すと、読字障害は読むことが苦手で、文字の認識やつなげ方に問題があります。
書字障害は、文字を思い出し、正しく書くことが苦手で、文字と文字の形を結びつけることがむずかしい状態のことです。
算数障害は、数を認識することや、算数の問題を解くことが苦手で、計算や数の概念の理解、問題を解くための記憶の部分に問題があることによって起こると考えられています。

詳しくはこちらの記事で解説していますので、よければ参考にしてくださいね。

算数障害とは

算数が苦手な子の特徴は、下記のようなことです。

  • 計算する・推論することが苦手
  • 目に入った情報のものの形や位置・向きなどを認識すること(形や位置関係の認知)が苦手
  • 長さやかさ・重さ・時間の量的把握が苦手

ただし、計算することは、さまざまな認知機能が関係しているため、原因特定がむずかしいのが現状です。
また、読字障害や書字障害と合併しているケースも見られます。

では、具体的に算数はどんな力を使っているのでしょうか?
下記の算数の問題を使って説明しますね。

問題:1ダース(12本)のえんぴつが入っている箱が 10箱あります。 えんぴつは全部で何本あるでしょうか?

  1. 問題の意図を理解する

「えんぴつの総本数を答える問題だ」と理解する

  1. 問題を解く手順をこなす

「まずは12本のえんぴつがあるんだな。それが10箱あるから、12×10の掛け算をするんだな」と手順に沿って問題を解く

  1. 注意を切り替えて次の作業をする

問題を読む・理解する・式を考える…といった作業の切り替えを行う

  1. 集中して取り組む

「正解は120本!」と回答を出すまでやり切る

このように、算数は、

  • 数について理解する『ナンバーセンス』
  • 問題を解くために使う『記憶』
  • 適度に集中したり注意を払って作業を行う『実行機能』

の力を使っています。
算数障害は、いずれかに問題があることによって起こると考えられています。

算数障害の支援方法

「もしかしたら算数障害かも」と思ったら、身近な専門機関の相談窓口で相談してみてください。
具体的な進め方はこちらの記事を参考にしてみてくださいね。

では、算数障害のお子さんの支援方法について、いくつか紹介します。
勉強の支援というよりは、日常生活の中で少しずつ力を伸ばしていくことがおすすめです。

ナンバーセンスの力をつける

算数の問題を解くのに大切で基礎となる力は『ナンバーセンス』です。
ナンバーセンスとはなんでしょうか。
別の呼び方としては、数の概念ともいい、数の大きさや大小関係や加算・減算操作の基本などを直感的に理解できることを言います。

シンプルなことだと、「3はさん」とわかることですね。
また、たとえば、目の前にりんごが3個机の上に置いてあるのを見たときに、「りんごが3個あるな」と直感的にわかったり、りんごが3個とオレンジが4個机の上に置いてあるのを見たときに、「オレンジの方がりんごより1個多いな」とわかることです。

ナンバーセンスの力をつけるために、日常でできる支援方法は、

  • お買い物に行ったときに「玉ねぎを2個持ってきてくれる?」とお願いする
  • 「このお肉は200gあるね」と持たせてあげて重さを実感する
  • おやつや好きなご飯を出すときに「2つより3つの方が嬉しいね」などと量の違いを教える

といったことがあります。
このように、量が実感としてわかったり、数が多い方が嬉しいなど、感情と紐づけていくと、理解がしやすくなりますよ。

文章題を解く

文章題では『記憶力』や『実行力』も必要になってきます。
まずは、文章題を解く中で、どの部分(計算すること・文章題を理解することなど)に苦手を感じているのかを知ることがとても大切です。

そして、苦手とするところ・できるところがわかったら、できるところを使い、苦手なところを補っていきます。

たとえば、学校ではよく「にいちがに、ににんがし…」と九九を覚えますよね。
しかし、聴知覚(音声情報に対して意味付けを行う知覚)に課題があるお子さんは、暗唱して記憶することがとても苦手な場合があります。

そんなときは、九九表を使ってルールを視覚的に理解する、という支援方法が有効な場合があります。
視知覚(見た情報に意味付けを行う知覚)を使うということですね。

ほかにも、文章題の意味がわからない時は、絵を描いて状況を表すことによって意味の理解を進めることができます。
このように、ひとえに『記憶力』といっても、苦手なところはお子さんによって違うことがわかりますよね。

『計算する』ことが苦手な場合は、 電卓やスマホなどを活用して、計算を日常生活に取り入れていきましょう。
たとえば、普段のお買いものの中で、税抜価格を見ながら「実際にはいくらあったら足りるんだろうね?」と、一緒に計算してみたりします。

苦手なところを知り、適切な支援をしよう!

算数はさまざまな脳の機能が関係しているため、算数障害の原因を特定することがむずかしい場合が多いです。
だからこそ、算数障害について理解を深め、お子さんが苦手とすることが何かを知り、適切な支援をしていくことが大切です。

そのため、「算数障害かも知れない」と思ったら、児童精神科などの医療機関で検査を受けてみましょう。
最初はハードルが高く感じるかもしれませんが、一度検査を受けると「理由が知れてよかった」「子どもが生き生きするようになった」「適切な支援ができるようになった」とポジティブにとらえる親御さんも多いです。
ぜひ、前向きに検討してみてくださいね。

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  • 心理カウンセリング
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