読字障害(ディスレクシア)とは?特徴や支援方法について解説!

アクセスありがとうございます!
10年間、小中学校の教員として1,000人以上の子どもたちの指導をしてきた歌原です。
今回は「読字障害の子どもへの支援はどうすればいいの?」についてお話しします。

この記事を読んでいるということは、
「なかなか音読の宿題ができない」
「読むことが苦手そうだけどどう手助けしてあげたらいいのかわからない」
と悩まれているのかもしれませんね。

今回は、読字障害のお子さんに向けた支援方法について詳しく解説します。
家でできることから、学校での支援まで解説しますので、ぜひ参考にしてください。

学習障害とは

読字障害は、学習障害の一種ですが、そもそも学習障害とはなんでしょう?
学習障害(LD:Learning Disorder)は、全般的な知的発達に遅れがないものの、聞く・話す・読む・書く・計算する・推論することがむずかしい状態のことです。
知的発達の遅れがないことがポイントですね。

具体的なタイプは、読字障害(ディスレクシア)の他にも

  • 書字障害(ディスグラフィア)
  • 算数障害(ディスカルキュリア)

などがあります。

ざっくり話すと、読字障害は読むことが苦手で、文字の認識やつなげ方に問題があります。
書字障害は、文字を思い出し、正しく書くことが苦手で、文字と文字の形を結びつけることがむずかしい状態のことです。
算数障害は、数を認識することや、算数の問題を解くことが苦手で、計算や数の概念の理解、問題を解くための記憶の部分に問題があることによって起こると考えられています。

詳しくはこちらの記事で解説していますので、よければ参考にしてくださいね。

読字障害とは

読むことが苦手な子の特徴は、下記のようなことです。
当てはまることはありますか?

  • 単語を正しく読むことが苦手
  • スムーズに読むことが苦手
  • ある程度の速度をもって読むことが苦手
  • 読んで文章を理解することが苦手

では、読むことは、頭の中でどんなことを行っているのでしょう?
私たちは、文章を読みながら頭の中で

  • 文字を音韻に変換する(デコーディング)
  • 頭の中で音声化された文章の意味を理解する

の二つを自動的に行っています。

まず、一つ目のデコーディングについて説明しますね。
たとえば、「りんご」という単語をみた時には、頭の中で「り」「ん」「ご」という音を再生しています。
小さなお子さんが一文字ずつ区切りながら読むのは、このデコーディングが一文字ずつだからです。
声に出して話していなくても、私たち人間は脳の中で、文字を音に変える作業を必ずしています。
「りんご」が一まとまりの単語だということ、そして次に書く言葉の意味やイメージの定着ができると、まとまった言葉で音を再生することができます。

次に「音声化された文章の意味を理解する」について説明します。
それは、「り」「ん」「ご」という言葉が何を指しているのか、意味を理解することです。
子どもたちは生まれた瞬間から、多くの経験をして学んでいきます。
たくさんの経験をして物と言葉の音が結びついていることで、文字を読むという段階にスムーズに移行することができます。
この過程のどこかに問題を持っている状態が、読字障害です。

読字障害の支援方法

もし、「もしかしたら読字障害かも」と思ったら、身近な専門機関の相談窓口で相談してみてください。
具体的な進め方はこちらの記事を参考にしてみてくださいね。

では、読字障害のお子さんの支援方法について紹介します。
基本的には、読むための六つの力を伸ばしていきます。

  • つなげる
  • 映像化する
  • 疑問を持つ
  • 推理する
  • 説明する
  • 道具を使う

つなげる

予備知識と読んだ内容をつなげることで、意味を理解することができます。
「りんご」と読めたとしても、それが果物の『りんご』とわかるには、果物の『りんご』を知っていないといけないですよね。

お子さんの予備知識が不足していたら、課題を提供する大人は事前に文章の中に出てくる言葉の意味を教えたり、絵本や写真、映像、手作業を通してつなげる工夫をしてみてください。
「あ、それ知ってる!」という、頭の中の電球がピカッと光ったような状態になると、文章を読んだときに内容を理解する大きな助けになります。
特に、手作業は触覚や視覚など色々な感覚を使うこと、個人の経験は「エピソード記憶」といって長期的な記憶に残りやすくなります。
ぜひ様々な経験をさせてあげてくださいね。

映像化する

映像化することは、心的イメージを強める・思い出すことを助ける・言語で思考する上で、とても重要です。
意味は言葉とイメージの両方で処理されるため、文章理解とイメージというのは、切っても切り離せないもの。
自宅でできる映像化の練習としておすすめなのが、「簡単な文章を読んで、その絵で描く」ことです。

たとえば、「女の子がりんごを1個持っています」などの簡単な一文から始めてみましょう。
慣れてきたら「持っていたりんごを大きな白い犬にあげました」など、続きの文章を作って、時系列に沿って絵を描いていくということもしてみると良いです。
絵を描くことが難しければ文章と合う絵はどれか?と選ばせてもいいですよ。

疑問を持つ

「なんで?」と疑問を持つことは、子どもたちが意味を理解する上でとても重要です。
疑問を持つことで、すでに知っている知識と照らし合わせたり、見た情報を鵜呑みにせずに自分で考えて答えを出すという力につながっていきます。
お子さんから自発的に「なんで?」と疑問を持つことはもちろん、その場面を提供することも大切です。

たとえば、日常生活の中では以下のようなことが疑問を持つ練習になります。

  • 質問の言葉を練習する
  • インタビューをする
  • 文字のない絵本を読む
  • なじみのない物や写真、食べ物などを見せる

ぜひ、やりやすいことを実践してみてくださいね。

推理する

推理することは、すでに知っている知識を確かめたり、作業や動作に必要な情報を一時的に記憶・処理する「ワーキングメモリ」のトレーニングになります。
新しい文章を読んだ時にも「こうじゃないかな?」と推理しながら読むことで、状況をイメージしたり意味を理解する助けになるのです。

推理する力をつける練習としておすすめなのは、

  • 物語などを読んで、場面と場面の間に何があったのかを考える
  • なぞなぞやクイズを出して考える

です。
自分で答えることはもちろん、慣れてきたらなぞなぞやクイズを作るということも楽しみながらできるトレーニングですね。
すでに知っている知識や経験を組み合わせて文章を作るので、大変高度な力を要します。

説明する

この文章の中で最も大切なことは何か?と自分の言葉で述べることを「要約」と言います。(小学校の中学年以降の学習になります)
この力は少し上級のため、他のことが慣れてきたら実践してみてください。

たとえば、下記のようなことを聞いて答える練習をします。

  • 話題になっている人や物はだれ・何か?
  • この話題で大切なことは何か?
  • 大切なことを補足しているものは何か?

文章が長いときは、段落ごとにこれらを確認していきます。
段落ごとに要約ができると、物語や説明文などを全体通して読んだ時にも何が話の中心で、大切なことは何なのか、を把握することができます。

道具を使う

文章を読むときの『道具を使う』とは、自分で視覚的な手がかりや文章中の手がかりを探したり、漢字を調べたり、文を分解するということです。
文章を読んで意味が理解できないとき、必ずつまずいている理由があります。

そのような場合には、下記のようなことをやってみましょう。

  • 文や段落をもう一度読み直す
  • 最初に戻って読み直す
  • 文章内の手がかりをさがす
  • 図や絵、写真などの手がかりを探す
  • 代名詞(これ、それ)を名詞に置き換える
  • 文章に使われている言葉を簡単な単語に置き換える、
  • 漢字の読みと意味を調べる

最初は周りの大人のサポートが必要かもしれませんが、本人が何がわからず困っているのかを自覚し、どんな道具を使うことで解決できるかを覚えていくことで、一人で読み進めることができるようになっていきます。

日常生活の中で読む力を少しずつつけていこう!

このように、日頃何気なく行っている「読む」ということは、たくさんの力を必要とします。
ぜひお子さんが楽しんで取り組めることを使って、これらの力を伸ばしていきましょう!

まなびかたlab.は、子どもから大人まで多世代の発達をサポートいたします。
茨城県つくば市&オンラインで対応しております。
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  1. 発達障害・学習障害対応のプロによる相談・カウンセリング・コーチング
  • 発達相談
  • 心理カウンセリング
  • 本音の根っこ®︎発掘コーチングセッション
  1. 発達支援・認知トレーニング
  • ブレインジム®︎セッション
  • 教材選定・認知トレーニング
  1. 考え方や感じ方を知る検査・分析
  • 知能検査(WISC-Ⅴ:<対象>5歳0ヶ月~16歳11ヶ月 WAIS-Ⅳ:<対象>16歳〜成人)
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