
WAIS-IVで紐解く自分の取扱説明書:すべての人へおすすめする理由
2026-01-07はじめに
「同じ言い方をしているのに、ある子(ある先生)には届くのに、別の子には刺さらない」——。 教育現場でも家庭でも起きるこのズレは、能力ややる気の問題というより、 受け取り方のクセ(パーソナリティ傾向)によって説明できることがあります。
たとえば、結論を先に聞きたい人もいれば、背景を知ってから腹落ちしたい人もいます。 見通しがないと不安になる人、根拠がないと動けない人もいます。 こうした違いは「わがまま」ではなく、安心して動くための条件が違うということです。
本記事では、公認心理師としての視点と学校現場の経験をもとに、タイプ別に「伝え方・任せ方・立て直し方」を整理します。 職員室のチームづくりにも、保護者対応にも、家庭での声かけにも応用できるように、今日から使える形に落とし込みます。
この記事でわかること
- パーソナリティ(傾向)を、決めつけずに扱うための前提
- 4タイプで見る「伝え方・任せ方・ほめ方・注意」の基本設計
- 1on1/面談で“本音”が出やすくなる問いかけの型
- こじれたときに関係を壊さず立て直す「安全な修復手順」
- 教育現場・家庭・職場に共通する、チームが回る運用のコツ
この記事で解説する内容
- パーソナリティを「行動のクセ」として扱う理由(専門用語は最小限)
- 4タイプ別:やりがちな“すれ違い”と、効く関わり方
- 面談・会議・家庭での声かけに落とす運用テンプレ
- 失敗例:合わせすぎ/正論の押しつけ/ラベリングの副作用
この記事を書いた人
公認心理師・ブレインジムインストラクターの吉尾 香奈子が執筆・監修。
元小中学校教員として10年間で1000人以上の子どもを指導。現在は教育委員会巡回相談員、心理検査員、子どもの発達に関するNPO副代表理事などを務める。教育・心理・経営の専門知識と現場経験に基づき、理論と実践のバランスを重視。心理学や海外の教育メソッドなどの専門知識を、今日から教育現場で使える知識として提供。「学び方」「働き方」「生き方」の多様性を尊重し、一人ひとりが輝ける社会を目指している。
目次
まず前提:パーソナリティは“固定ラベル”ではありません
この記事で言うパーソナリティは、「性格診断の結果」そのものというより、
その人が選びやすい反応のクセ(傾向)として扱います。
タイプ分けの目的は「決めつけ」ではなく、伝え方の選択肢を増やすことです。
同じ人でも、慣れている活動では大胆に挑戦できるのに、初めての場面では急に慎重になることがあります。
だからこそ、タイプは“診断名”ではなく、関わりを調整するための観察メモとして使うのが安全です。
補足:職場コミュニケーションの「障壁」全体像も押さえたい方は、
職場のコミュニケーション改善するリーダーシップ7選【前編】
も合わせてどうぞ。
リーダーの役割は「同じゴールに、別の道で連れていく」こと
指導やマネジメントで起きる摩擦の多くは、能力不足ではなく、道順のミスマッチです。
「結論から言ってほしい人」「背景から腹落ちしたい人」「見通しがないと不安な人」「根拠がないと動けない人」。
それぞれに同じ道順を強いると、どこかで止まります。
だからリーダーが増やしたいのは、言い方のバリエーションよりも順番です。
同じ内容でも、順番を変えるだけで“刺さり方”が変わります。
4タイプで整理する「伝え方・任せ方」の基本(教育/家庭/職場共通)
「タイプの違い」を“多様性”として活かす視点は、
職場のコミュニケーション改善するリーダーシップ7選【後編】
でより深掘りしています。
Aタイプ:スピード型(結論→選択肢)
刺さる順番:結論 → 期限/優先度 → 選択肢
- まず「何を決める?」「何からやる?」を短く言う
- 選択肢を2つに絞る(自由度が高すぎると迷う)
- 注意は“人格”でなく“次の一手”に寄せる
声かけ例:「今日はここまで。方法はAとBどっちがやりやすい?」
Bタイプ:共感型(背景→気持ち→提案)
刺さる順番:背景 → 気持ちの受け止め → 提案
- “正解”を先に言うと閉じやすい
- まず「何が大変?」「どこで止まった?」を聞く
- 提案は“命令”でなく“共同”の形にする
声かけ例:「そこまでやったのは大きい。次、どこを一緒に整える?」
Cタイプ:安定型(見通し→手順→役割)
刺さる順番:見通し → 手順 → 役割/約束
- 不安が強いとフリーズしやすい
- 「いつ」「どこまで」「困ったら誰に」を明確に
- 小さな成功体験を積めるサイズに切る
声かけ例:「まず①だけ。終わったら一緒に次を決めよう」
Dタイプ:慎重型(根拠→条件→リスク対応)
刺さる順番:根拠 → 条件 → リスク対応 → 次の一手
- 納得材料がないと動けない(=誠実さでもある)
- 「なぜ今これ?」を短く説明する
- 反論は“敵意”ではなく“検証”として扱う
声かけ例:「理由はこれ。懸念点があるなら先に出して、対策も一緒に考えよう」
※どのタイプにも共通して効くのは、「相手が動きやすい順番で伝え、最後に“次の一手”を小さくする」ことです。
本音が出る1on1(面談)の型:3分で“安全”を作る
- 安心の宣言:「今日は評価の話ではなく、整理の時間にしよう」
- 事実の確認:「今週いちばん困ったのはどこ?」
- 感情の言語化:「そのとき、どんな気持ちになった?」
- 次の一手を1つ:「次に楽にするために、何を1つ減らす?」
ポイントは、“正しい指導”を急がないことです。
面談の最初に正論を入れると、タイプによっては「もう話すのをやめよう」となります。
まずは事実と気持ちを並べ、最後に次の一手を小さく決める。これで十分回ります。
すれ違いを減らす「質問の深掘り」や、定期的な対話の作り方は、
【保存版】職場のコミュニケーションエラーを防ぐ5つの実践方法
も参考になります。
こじれたときの立て直し:関係を壊さない修復ステップ
うまくいかないときにやりがちなのが、①さらに強い言葉で押す、②放置して距離を取る、のどちらかです。
でも修復は、力技より順番が大切です。
修復の4ステップ
- ①事実:「昨日の場面、私はこう見えた」
- ②意図:「責めたいのではなく、次を良くしたい」
- ③相手の見え方:「あなたにはどう見えていた?」
- ④次の約束:「次はこうする、で合意できる?」
※“謝る/謝らない”の前に、「見え方を揃える」ことが修復の核心です。
家庭・教育現場での応用:声かけを「順番」で変える
家庭でも同じで、子どもが動けないときは「やる気がない」のではなく、
不安・納得不足・過負荷のどれかが多いです。
だから叱るよりも、順番を変える方が効くことがあります。
- Aタイプ寄り:結論→選択肢(「今はここまで。次はどっち?」)
- Bタイプ寄り:気持ち→提案(「嫌だったよね。じゃあ一緒に1つ変えよう」)
- Cタイプ寄り:見通し→手順(「5分だけ。終わったら休憩」)
- Dタイプ寄り:理由→条件(「なぜ必要か。どこまでやればOKか」)
まとめ:明日からのアクション3つ
- 相手の反応を見る(言葉より反応をデータにする)
- 順番を変える(同じ内容でも刺さり方が変わる)
- 次の一手を小さくする(成功体験のサイズを下げる)
「合わない相手を変える」より、「伝え方の選択肢を増やす」方が、現場では早く、優しく、再現性があります。
まずは1人、1場面から試してみてください。
関連記事
– 職場のコミュニケーション改善するリーダーシップ7選【前編】
– 職場のコミュニケーション改善するリーダーシップ7選【後編】
– 【保存版】職場のコミュニケーションエラーを防ぐ5つの実践方法





